北欧は本当に安全?北欧の最新治安情報と危険エリアを現地スタッフが解説
「北欧」と聞くと、多くの人が「安全に旅行できる国」というイメージを抱くと思います。たしかに、凶悪犯罪は日本よりも少ない傾向にありますが、近年は社会情勢の変化や観光客の増加に伴い、軽犯罪に注意が必要な場面も増えています。
そこで今回は、ガイドブックには載っていない北欧のリアルな治安情報と、北欧を安全に旅するための防犯対策を、現地在住スタッフが解説します。北欧旅行の出発前にぜひチェックしてください。

北欧は本当に安全?最新の治安状況は? Image Created by THE STYLE OF NORTH
世界平和度ランキングで見る北欧の治安は?
まず、北欧5か国(アイスランド、デンマーク、フィンランド、ノルウェー、スウェーデン)の治安は、世界的にはどう評価されているのか見てみましょう。最新の世界平和度指数(Global Peace Index)では、以下のようなランキングになりました。
アイスランド:1位
デンマーク:8位
フィンランド:10位
ノルウェー:32位
スウェーデン:35位
参考/日本:12位
アイスランドはなんと、17年連続の首位! 軍隊を持たない非武装国であり、社会の安全性と政治の安定性で最高評価を獲得しています。デンマークとフィンランドも長年トップ10内を維持しています。一方で、かつてはトップ10内だったノルウェーとスウェーデンは、近年の軍事状況や地政学的な要因により順位を下げています。
※GPIは、犯罪率に加えて政治的安定性、軍事関連要因、社会の安全性などを総合的に評価する指標です。そのため、観光客が体感する治安とは必ずしも一致しないことがあります。
Global Peace Index 2025
https://www.economicsandpeace.org/wp-content/uploads/2025/06/GPI-2025-web.pdf
【北欧の国別】最新の治安情報と要注意エリア
北欧の国々は長年にわたり世界平和度指数で上位にランクインし、殺人や強盗などの凶悪犯罪の発生率は日本と比較しても低いことが特徴です。しかし、完全に犯罪がゼロというわけではありません。
近年は、外国人観光客の増加や移民流入などによる社会情勢の変化から、窃盗・暴行・違法薬物の売買などの犯罪が増加傾向にあります。地元の人からも「以前より注意が必要になった」という声が聞かれます。
ここでは、北欧観光時に、旅行者が特に注意すべきポイント&エリアを国別に解説します。
アイスランド:世界一安全な国でも過信は禁物
人口が少なく、自然豊かなアイスランドですが、近年は首都レイキャビクで軽犯罪が増加しています。人が多く集まる観光スポットや週末夜間の繁華街では、外国人観光客を狙ったスリや置き引き、車上荒らしなどが発生しています。夜間の一人歩きを避け、貴重品の管理を徹底しましょう。
注意したいエリア
・レイキャビクの繁華街(ラウガヴェーグル通り周辺)や港湾地区
・ナイトクラブ
外務省:アイスランド安全対策基礎データ
https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure_282.html
デンマーク:コペンハーゲンの観光地は窃盗に注意
デンマークはヨーロッパの中でも比較的治安が良いと評価されていますが、コペンハーゲンの観光スポットでは財布やスマホの窃盗などが起こっています。また、外国人観光客にも人気のクリスチャニアやノアブロ地区などでは、窃盗のほか、違法薬物の売買が行われることがあり、治安が悪化傾向です。ギャングの抗争による発砲事件なども報告されています。
注意したいエリア
・コペンハーゲン中央駅付近、人気の観光地(ニューハウン、人魚姫像など)
・ノアブロ地区やクリスチャニア地区
外務省:デンマーク安全対策基礎データ
https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure_164.html
フィンランド:ヘルシンキでは声かけ詐欺が発生
穏やかなイメージが強いフィンランドですが、首都ヘルシンキでは2023年以降、路上強盗や窃盗が急増しています。ニセ警察官が観光客のバッグや財布を調べるふりをして、金品を盗む事件も発生。また、駅や公共交通機関内で連絡先を聞かれ、教えてしまったために後日トラブルになるケースも報告されているので、巻き込まれないように注意してください。
注意したいエリア
・ヘルシンキ中央駅付近
・カンッピ地区のバスターミナルや繁華街
・コントゥラ地区
・湾岸地区
外務省:フィンランド安全対策基礎データ
https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure_169.html
ノルウェー:オスロの一部エリアは単独行動NG
自然豊かなノルウェーは全国的に安全に過ごせますが、首都オスロの東部(特にグロンランド駅周辺)は窃盗や暴力事件などが多く発生しています。一部の公園や広場が不法移民、ホームレス、薬物中毒者の集まる場所となっているため、特に夜間は近づかないようにしましょう。また、タクシー運転手とのトラブルやぼったくりも多いため、一人で行動するときはさらに注意してください。
注意したいエリア
・オスロ中央駅周辺
・グロンランド駅周辺、トイエン地区
・ナイトクラブ
外務省:ノルウェー安全対策基礎データ
https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure_166.html
スウェーデン:ストックホルムやマルメの治安悪化が社会問題
スウェーデンは、移民や宗教問題による治安悪化が顕著で、ストックホルムの一部地域やマルメ、ヨーテボリでは銃撃事件や爆発事件が社会問題化しています。これらの事件は主に移民ギャング間の抗争が原因のため、観光客が巻き込まれるケースは稀ですが、それでも現地住民が少ない場所や夜間は特に注意が必要です。郊外の危険エリアには日中でも近づかないようにしましょう。
注意したいエリア
・ストックホルムの主要駅周辺や旧市街(ガムラスタン)
・ストックホルム北西部(リンクビー地区など)
・マルメ(ローゼンゴード地区など)
外務省:スウェーデン安全対策基礎データ
https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure_160.html
北欧旅行に役立つ! 安全に観光するための防犯対策3つ
比較的安全に過ごせる北欧諸国ですが、旅行中の油断は禁物です。犯罪から身を守るためには、事前の準備と現地での注意深い行動が大切。安心して旅を楽しむために、知っておくべき防犯対策をまとめました。
1. 貴重品の管理を徹底する
パスポート、現金、クレジットカードなどの貴重品は、一箇所にまとめず分散して持ち歩くのが基本です。高価な時計やアクセサリー、カメラなどは人目に付かないよう注意し、ホテルのセーフティボックスも活用しましょう。また、レストランやカフェなどで荷物を座席に置きっぱなしにすることは絶対に避けてください。

2. 行動する場所と時間に注意する
危険なエリアへの立ち入りや夜間の一人歩きは避け、必ず人通りの多い明るい道を選んで行動しましょう。現地で話しかけられても、深入りせず、個人情報を提供しないように心がけてください。また、ATMを利用する際は、必ず周囲を確認し、暗証番号の入力を他人に見られないように注意しましょう。
3. 渡航前の準備を万全にする
渡航前に海外旅行保険へ加入すると安心です。万が一に備え、緊急連絡先(※)、日本大使館、クレジットカード会社、保険会社の番号なども控えておきましょう。また、外務省の「たびレジ」に登録しておくと、現地での緊急事態や最新の安全情報をメール(日本語)で受け取ることができて便利&安心です。
その他、必要以上の金品を持ち歩かないこと、現地の習慣やマナーを尊重することも、安全な旅につながります。
※北欧共通の緊急電話番号は「112」です。「112」に電話すると、警察、消防、救急のいずれかの対応を受けられます。
北欧の旅を安心して楽しむためには、油断しない心構えが何より大切です。なお、イースター、夏休み、クリスマス、イベント開催時期は、普段と異なる雰囲気になることがあります。街が閑散としたり、逆に非常に混雑したりするため、該当時期の渡航は事前に情報収集を行いましょう。
しっかりと安全対策をして、思い出に残る北欧旅行を楽しんでください。